パパになった石

30代内科医の妊活、育児の備忘録

コロナと妊娠

ブログはゆっくり開設する予定でしたが、気になることがあったので、ひとつまとめておきます。
自己紹介など普通の記事は後日、ゆっくり投稿していこうと思います。

妻がこの2020年2月初旬に二人目を妊娠しました。体外受精でです。

そのころすでに世間がコロナウイルスで騒がれていましたが、日本での感染者数は伸びておらずコロナ対策などあまり考えていませんでした。むしろなにも考えず、冷凍受精卵の更新がそろそろだし、一人目も落ち着いたしそろそろ2人目する?くらいのもので、頭の中にコロナのコの字もなかったと思います。
その後、WHOのパンデミック宣言、生殖医療学会からの不妊治療の延期の検討の声明、日本の緊急事態宣言。しらべれば2月1日時点でも⽇本産婦⼈科感染症学会からアドバイスのようなものもでてました。

妊婦であるということをこれほど不安に思うとは思いませんでした。

不安だ不安だだけではいけないので、妊婦とコロナについて調べたものをまとめておこうと思います。
「妊娠中、コロナが心配」「妊活中だけどどうしよう」そういった方々への一助になれば幸いです。
2020.4.20時点。

コロナと妊娠

結論

過度に不安に思う必要なし。

胎児への影響:異常、流産、早産、死産は現時点でなし。
胎児への感染:子宮内感染疑いはあり。証拠はなし。重症化リスクは変わらない。
妊婦の経過の重篤化:現時点でなし。ほかの人と同等のリスク。使える薬、検査が限られる点でいくらかのデメリットはあり

あくまでも現時点。コロナ罹患経験のある妊婦さんから子供が産まれ、もしもなにかしら異常があったときに感染と因果関係を示せるのはまだまだ先のお話。

Q&A

妊婦のコロナやばいのか?

いまのところ、妊婦が致死率が高いといった報告はなし。感染率は同じ。
妊婦のほうが死亡率は低いかもという報告もあり。若年であることの影響も考えられます。
元々妊婦は横隔膜があがって呼吸器症状が重篤になりやすいことや一部感染症が妊婦へ悪さをしていることも知られているため、絶対の安心はありません。

コロナにかかったらあかちゃんに影響あるのか

現時点ではなし~不明。妊娠後期の感染で垂直感染の可能性は示唆されるも証拠不足。

妊婦検診どうしよう

自身がコロナウイルス感染の疑いがなければ受診すべき。ほかの患者との接触が心配ならかかりつけに電話して受診するのがいいと思います。

熱があるけどどうしよう。

37.5℃の発熱が2日続いたら帰国者、接触者相談センターへ連絡すること、と産婦人科学会の声明にあります。
健常者だと4日なので早めに相談するようにとのようです。

もしも肺炎あっても妊娠中CTとれないんじゃないの?

週数にもよりますが胸部XpやCTであれば胎児への被ばく量は少なく影響は少ないと考えられています。母体の健康とのメリットデメリットです。受診した医療機関と相談を。

予防は?

一般的な予防と同じです。3密を避け、手洗いうがい。最近、液体ハンドソープ売り切れてるけどマイ固形石鹸(共有しない)でも十分なはずです。

コロナにかかったら母乳育児できなくなるの?

現在のところ母乳からのウイルス検出なし。施設の方針にもよりますが、感染対策をしっかりしてあげればできるのではないかとのことです。

情報収集

WHO(COVID-19、妊娠、出産、授乳に関するQ&A)英語

分かりやすいQ&Aタイプ。WHOからの情報って思うとなぜか安心感を持ってしまう。英語が苦手な方はブラウザをChromeにすると簡単です。

厚生労働省「妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策」をとりまとめました

ざっくり妊婦を社会で支えよう、過度に心配しすぎないよう、予防はしっかりといった内容。

日本産婦人科感染症学会(HP

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について 妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ」こまめに更新されていて要約がすっきりしている

日本生殖医療学会(HP

受診などもリスクになるし、延期できるなら不妊治療は控えてねとのこと

米国疾病予防管理センター(CDC)(妊娠と母乳育児)英語
その他論文など 英語

・JAMA:COVID-19肺炎の母親に生まれた乳児の抗体:March 26, 2020. doi:10.1001/jama.2020.4861
コロナに対する抗体(母親由来でない)を生まれたばかりの赤ちゃんがもってたから、もしかしたら子宮内感染あるかも?。

・JAMA:中国武漢でCOVID-19をもつ母親に生まれた33人の新生児におけるSARS-CoV-2による新生児早期発症感染:March 26, 2020. doi:10.1001/jamapediatrics.2020.0878
33人中3人の新生児にコロナ陽性があり。3人中1人は重篤で人工呼吸器も使用しているが、早産、敗血症あり、コロナのせいじゃないかも。

・Arch Pathol Lab Med:COVID -19 の38人の妊娠中の女性、その新生児、およびSARS-CoV-2の母子胎児感染の分析:母体コロナウイルス感染症および妊娠転帰。:Mar 17. doi:10.5858/arpa.2020-0901-SA.
38人の妊婦に妊産婦死亡なし。子宮内感染を示すものなし。

・Luncet:9人の妊婦におけるCOVID -19感染の臨床的特徴と子宮内垂直感染の可能性:医療記録の回顧的レビュー。:Mar 7;395(10226):809-815. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30360-3.
少数の検討では垂直感染の可能性を示唆するものなし。感染者の母乳内にウイルスなし。

・Travel Med Infect Dis.:COVID -19 と診断された妊娠中の患者の死亡率:臨床的、放射線学的および組織病理学的所見を伴う症例報告。: Apr 11:101665. doi: 10.1016/j.tmaid.2020.101665.
死亡例。27歳、妊娠30週3日。全文読めず、基礎疾患に言及なし。

総括

いまのところコロナウイルスが妊娠中の母体へはっきりした影響は与えず、赤ちゃんへの影響も大きくはなさそうです。が、冒頭でふれたように、早期妊娠中にコロナ感染症に罹患した方の赤ちゃんはこれから産まれてくるためまだ、安心はできないです。
世界では20代でも亡くなられた方を散見しますし、妊産婦の死亡例もでてきています。感染して良い事がないのは間違いないですし、したくはないですね。
職業柄持って帰らないかいつもビクビクしています。

産まれる前から心配ごとが多い分、きっとかわいい子が産まれてくることを祈ってます。

ブログ村登録しました
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村